みなさんタイトルにも書いてあるトランス脂肪酸をご存知ですか?
トランスファットフリーや、トランス脂肪酸ゼロという表示をしている
商品を見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
アレルギーにも深く関わっているという説もあります。
海外のトランス脂肪酸に対する対応
ニューヨーク市は2006年12月、同市内の飲食店における
トランス脂肪酸の使用規制を決定した。
2007年7月〜
1食あたりの調理油やマーガリンに含まれるトランス脂肪酸を0.5g以下とする規制が施行され、違反した者には最高2,000ドルの罰金が科せられる。
2008年8月〜
1食あたりの総量としての使用が0.5g以下に規制された。
2008年7月25日
カリフォルニア州において州レベルで初めて使用禁止を決定し、違反した場合25~1000ドルの罰金が科せられる。
レストランでの使用は2010年1月1日以降禁止され、焼き料理の商品での使用は2011年1月1日以降禁止される。
他国でも、カナダ、ヨーロッパ各国、アジアでは韓国など規制、表示の義務化がすでにされています。
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日本におけるトランス脂肪酸の規制
しかし、日本ではどうでしょうか?
ご存知の通り、特に規制などなし。
アメリカのレストランで使用したら罰金になる物であっても、日本では全く制限がありません。
日本の食品安全委員会は、アメリカに比べて日本人の食生活ではトランス脂肪酸の摂取量は少ないから問題ない。といった見解です。
制限も表示の義務も本当に必要ないのでしょうか?
WHO/FAOの2003年のレポートではトランス脂肪酸は心臓疾患のリスク増加との強い関連が報告されています。
さらに、摂取量は全カロリーの1%未満にするようにと勧告されています。
トランス脂肪酸の摂取量について
例えば、成人男性で1日の平均摂取カロリーは2500kcalだとして、25kcal未満にしなさいってことです。
具体的なトランス脂肪酸の摂取例
ある試算ではM社のポテトのMサイズで4.5g、Lサイズで6gというデータもあります。
ポテトだけで4分の1ですこれで多いのか少ないのか(笑)
アメリカでは一食当たり0.5gという時点でもう罰金決定です。ポテトだけで9倍~12倍です。
さて、トランス脂肪酸はどのような食品に多く含まれているんでしょうか?
トランス脂肪酸を多く含む食品
アメリカ発表されている
トランス脂肪を多く含むとされている食品のトップ10です。
- スプレッド(マーガリン、ショートニング)
- 粉ミックス(ケーキ用ミックス粉)
- インスタントラーメン、インスタントスープ
- ファーストフード
- 冷凍食品
- オーブン食品
- スナック菓子
- シリアル
- クッキー、チョコレート
- トッピング(ホイップクリーム、コーヒーフレッシュ、ドレッシング)
ご自宅の冷蔵庫にはいくつ該当の食品がありますか。
これらはアメリカのレストランでは使用禁止になっている商品です。
加工食品の多くに「植物性加工油脂」、「ショートニング」、「マーガリン」などと書かれているものが含まれているか確認することは大切です。
体が作られる幼少期に毎日食べる給食にも、パンとマーガリンが出ますよね。

日本の各企業のトランス脂肪酸への対応
マクドナルド、KFC、スターバックスなど日本でも多店舗展開している会社ですが、
アメリカではトランス脂肪酸を減らす対策をすると宣言しております。
しかし、日本では対応する予定がない、もしくはノーコメントとのことです。
日本法人は厳密に言えば別法人なので、現地法人に判断は任されている部分も大きいのでしょう。
国も規制する気配もないし、食品安全委員会も問題ないという意向。
というくらいのスタンスなのでしょう。
まぁ国は添加物の決め方とか見てても、国民の健康を最優先にした施策ではありません。
消費者に少しでも安全なものを提供しようという意識があれば、そんなことにはならないはずです。
それとは対照的に、ミスタードーナツでは0にはできないものの、オイルを変えて4分の1から6分の1に減らすことができた。
と発表しています。
まぁ達成しました!!って書かれても、0じゃないからなぁ。他のドーナツ屋さんでは0のところもあります。
数年前にはセブンアンドアイホールディングスは自社製品からのトランス脂肪酸を撤廃すると宣言しておりました。
プライベートブランドでは全廃を目指し、他社製品にもこれから呼びかけていくとのことでしたが、普通にセブンイレブンのパンにはマーガリン使ってますね。
小売りの最大手が動いたとなると、一気に加速する可能性が高いかなと
思ったのですが、、、
残念ながらまだまだ消費者が意識が低いということですね。。。
これを読んだあなたはどうでしょうか?
パンなどを買うときに、マーガリンを使っているかどうかをチェックしたことがありますか?
そもそも、トランス脂肪酸とは?
トランス脂肪酸のトランスとは?
どういう意味なのでしょうか?
トランスフォーマーっていう映画もありましたね(笑)
トランス=反対側、超えて、変えて
といったような意味です。
トランス脂肪酸の作られ方について
先日の記事でも書いていましたが、炭素くんの話を思い出してください。
マーガリンなどは植物由来だとよく聞きますよね?
なので、手が余っている不飽和脂肪酸のほうです。
そして、常温では液体状の植物油を固めるにはどうすればいいでしょうか?
それも油の記事に書いていましたが、水素さんがくっついてればいいんです。
手が余っていれば余っているほど不安定ですが、手が塞がっていけば安定化して固形化します。
何が問題かというと、それを人工的にあてがうことです。
無理やり炭素くんと水素さんを結合させることで飽和脂肪酸のような自然界には無いアブラが出来上がるのです。
脂肪専門の化学者達は、実際に「オイルをプラスチック化する」という表現を使うそうです。
顕微鏡でのぞくと、プラスチックの構造にそっくりだとも。
もしご自宅にマーガリンがあれば、バターと並べて違うお皿に乗せて台所で放置してみてください。
何日でカビが生え、虫がたかってくるのか。。。
(自分もやってみたいのですが、残念ながら家にはないし買う気もないので(笑))
具体的なトランス脂肪酸の害とは?
細胞膜への影響
まず、細胞膜の役割として
- 細胞内外の浸透圧を調整
- 細胞に必要な酸素や栄養を吸収する
- 細胞内で発生した老廃物を排泄する
- 情報を細胞間で伝達する
⇒細胞膜は脂質で構成されています。
トランス脂肪がこの細胞膜に入り込むと、
細胞膜の構造や働きが不完全になってしまう恐れがあるのです。
その結果
- 細胞自体の働きが弱くなる
- 細胞に必要な(栄養や成分)ものが流出する
- 有害物質が侵入しやすくなる
これらが全身すべての細胞で起こってしまうということです。
それがどこで起こるのか?
どの臓器の細胞や器官で起こるのかで症状が変わってくるでしょうね。
体内コレステロールのバランスを崩す
肝臓にダメージを与えて、体内のコレステロール合成量を調整する機能を崩します。
その結果、LDLコレステロールが過剰生産され、血液中の均衡が崩れてしまいます。
コレステロールは口から摂取されるものよりもはるか多く、自分の体で必要な量を判断して合成しています。
その生産量が正しく作られなくなってしまうとどうなるでしょう?
動脈硬化が進行して、最終的に心臓病のリスクを非常に高めてしまいます。
糖尿病を引き起こす
糖尿病は「糖質の代謝異常」と言われています。
体の中の糖質のバランスをコントロールするのが、インスリンとグルカゴンというホルモンです。
トランス脂肪酸は細胞膜の構造を不安定にするため、いくら体がインスリンを分泌しても、それをキャッチする細胞膜の受信機能が鈍くなってしまいます。
特に注意してほしいのが妊婦です。
妊娠中はホルモンの仕組み上、どうしても血糖値が上昇しやすくなります。
このため、今まで潜んでいた糖尿病体質が妊娠をきっかけに表に出やすくなります。
妊婦の糖尿病は年々増加傾向にあり、なかでも妊娠初期に血糖値が高い場合、心臓病など先天性の異常を抱えた子供が生まれる確率が高いことが指摘されています。
(日本糖尿病・妊婦学会)
免疫力を下げる
DNA修復酵素や免疫系に発動の指令を下すのが、細胞から伸びている糖鎖 と呼ばれるヒゲのようなものです。
糖鎖はいわゆるアンテナの役割をします。
異物の侵入をキャッチして、細胞間に情報を伝達し免疫系の機能を発動します。
消防や救急の情報センターのような役割ですね。
また、通常であれば細胞膜そのものに発がん性物質などが細胞内に侵入するのを防御する重要な役割があります。
細胞膜が主に脂質でできているため、ここにトランス脂肪が入り込んでしまうと細胞膜の構造や働きが不完全になってしまう恐れがあります。
糖鎖が正しく機能しなくなるため、免疫系統は正しい働きができません。
免疫力は低下します。
それと同時に、活性酸素などの有害物質が細胞内に簡単に侵入できるようになってしまいこれらの攻撃で細胞は酸化してしまいます。
遺伝子が傷付いてしまった結果として、異常が起こってガン化するのです。
トランス脂肪酸は体内でこの活性酸素も大量に作り出してしまうと言われています。
脳にダメージを与える
イギリス オックスフォード大学のピュリ医師らは「トランス脂肪酸は脳の活動に必要な酵素を破壊し、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などを引き起こす大要因になる。」というレポートを発表しました。
脳の60%は脂質で構成されており、脳と油の関係は密接です。
ここでも特に気をつけたいのは妊婦、乳幼児です。
人間の脳は特に胎児期に盛んに細胞分裂を行います。出生後1年で約80%が完成すると言われています。そして、3歳までには神経回路が決定されると言われています。
一度出来上がった神経回路は、そのあと別の回路には組み替えられることはありません。
そのため、胎児期から幼児期にかけて「脳の栄養失調」が続くと、正しく作られず知能や人格形成に大きなダメージを与えると言われています。
妊婦がトランス脂肪酸を含んだ食事を多く摂っていたり、乳幼児にトランス脂肪酸たっぷりの油を使った菓子類などを与え続けていると、脳神経の形成に大きな障害となる可能性は少なくないでしょう。
実際に、アルツハイマー認知症、ADHDの人は脳の神経細胞中にオメガ3が非常に少ないことがわかっています。
脳の情報伝達にかかわる神経細胞の細胞膜にはオメガ3が欠かせません。
脳の神経細胞にはオメガ3が20%以上含まれてはじめて情報が正しく伝達されると言われているからです。
太りやすく、痩せにくい体になってしまう
トランス脂肪酸は人工的に作られており、不自然な構造をしています。
プラスチックが土に還らないのと同じように、プラスチックの構造式と似たようなトランス脂肪酸が体内に入ってきても人間の体はなかなか代謝できません。
それでも分解しようとする時に、大量のビタミンとミネラルが必要になります。
近代の食品は様々な理由から、ビタミンやミネラルが少なくなってきています。
ただでさえ、ビタミンやミネラル不足の食生活になりやすい中で、本来他の役割の為に使用されるはずのビタミンやミネラルがさらに無駄に消費されてしまいます。
そして、トランス脂肪を代謝しきれずに体に残ると、内臓脂肪として蓄積されてしまいます。
アトピーの一因とも
トランス脂肪で構成された細胞膜は、正常な情報伝達ができなくなると書きました。
そのため、腸壁を構成する消化器系の細胞にトランス脂肪酸が入り込んできてしまうと、消化の時に通して良いものか、そうでないものかをうまく分別できません。
そのため、異種タンパクを吸収してしまい、血液が反応し排泄の働きが活発になってしまいます。
トランス脂肪酸対策として
まず3か月食事、特に油を変えて腸壁を作りかえましょう♪
3か月で約8割以上が再構成されます。
- トランス脂肪酸を徹底的に3か月避ける。
- 質の良い油に変える
- 質の悪い油を摂らない
以上のように、トランス脂肪酸に限っては必須脂肪酸とは違い百害あって一利なしです。
トランス脂肪酸の少ないマーガリンは?
最近では、トランス脂肪酸を減らしたマーガリンなども新商品として出てきています。
これは本当に安全なのでしょうか???
正直、よくわからないでしょう。
おそらく、マーガリンが出始めの頃は夢のような商品だとPRして販売され始めました。
しかし、十数年たって体に悪かったということがわかり、今では全世界的に避ける方向に進んでいます。
新しいものは常にそういう流れになることが多いです。
そのため、新しいよくわからないものはオススメしません。
使うのであれば、ちょっと値は張りますが牧草牛などのミルクから作られた発酵バターがオススメです。
バターは体に悪いという人もいますが、そんなことはありません。
ちゃんとした餌と環境で育てられた牛から作られたバターは味も最高ですし、他の油脂と比べても健康的です。