現代社会において、ストレスが全くないと言い切れる人は少ないのではないでしょうか。
適度なストレスは、やる気の原動力になり、モチベーションを上げてくれる良い刺激になります。
ですが、ストレスが過度で長期的になると心身の不調や病気の原因になることがあるので、
負担になりすぎないようにストレスとうまくつきあうことが大切です。
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ストレスの要因(ストレッサー)
ストレッサーとして、主に下記の3つが挙げられます。
物理的ストレス
環境や天気などに由来するストレス。騒音、光、寒さや暑さなど。
生物的ストレス
病原菌、ダニ、花粉、虫歯などからくるストレス。花粉によるアレルギー反応など。
社会的ストレス
職場、家族間の問題、金銭的な問題、子育てなどに由来するストレス。人間関係や環境の変化による不安や怒りなど。
現代社会では、3番目の社会的由来のものが一般的なストレスの原因と言えるでしょう。
ストレスが身体に与える影響
ストレスが身体に及ぼす影響と自律神経は、切っても切れない関係があります。
自律神経は、交感神経と副交感神経という二つの神経から成り立っていて、
通常この2つがバランスよく機能することで、健康を維持しています。
交感神経
“動”の神経。活動している時、緊張している時、ストレスを感じている時に優勢になる。
副交感神経
“静”の神経。休んでいる時、リラックスしている時、眠っている時に優勢になる。
この2つの神経は、複雑な仕組みによってシーソーのように交互に機能します。
交感神経が優勢の時は、副交感神経は休んだ状態か少しだけ働いた状態になり、副交感神経が優勢の時は、交感神経は休んだ状態か少しだけ働いた状態となります。
なので大雑把にいえば、日中は交感神経が優勢で、活動の状態となり、夜は副交感神経が優勢になり、休みの状態になるのです。
強いストレスに見舞われると、副交感神経が優勢になる“静”の状態になるはずの時間帯も、
交感神経が活発になり緊張を促してしまいます。
通常は人間の恒常性により、多少のバランスの乱れは調整が可能なのですが、緊張状態が長期に渡ると、慢性的に自律神経が乱れてしまい、数々の症状(不眠、食欲不振、疲労など)の原因につながってしまうのです。
精神的なストレスが身体の老廃物(活性酸素)を溜めてしまう仕組み
人間をはじめ多くの生物は、酸素を摂り入れてエネルギーを生み出している以上、
体内で「活性酸素」という物質が微量に発生します。
長い間、この活性酸素の害にさらされていると、細胞や組織が酸化されていきます。
からだの“さび”といわれるものです。
そしてこれが、病気や老化につながるひとつの原因になると考えられています。
ストレスは活性酸素を発生させる原因となりますが、それはなぜでしょう?
ストレスを受けるとそれに対抗するため「副腎皮質ホルモン」が分泌される。
この過程で、活性酸素が発生する。
ビタミンCは活性酸素を中和するのに必要不可欠であるが、ストレスがかかると
体内のビタミンCを大量に消費する。
緊張した際、血管が収縮し、血流が阻害される。
その後、血管が拡張したときに、血液が勢いよく流れると、大量の活性酸素が発生する。
ストレスがあると高血糖状態になりやすく、この状態も活性酸素を増やす原因となる。
というような理由が考えられます。
ストレスマネジメント
“自分自身で心身の緊張といったストレス反応に気づき、それを解消していくこと”
それをストレスマネジメントとよびます。
厚生労働省は、ストレスマネジメントとして
第一は、ストレス反応に対する気づきを良くすること、
第二は、ストレス反応を解消するための具体的な行動を起こすこと
をすすめています。
ストレス対策としての食事や栄養
ストレスによる身体的、心理的なダメージも、バランスのとれた食事や栄養の補給に気を配ることで、ストレスマネジメント効果が期待できます。
血糖値
血糖値が上がると、副腎からアドレナリンが分泌され、交感神経が活発になってしまいます。血糖値のアップダウンをなるべく抑えるため、甘いものの摂りすぎを控えたり、食物繊維が豊富な食品(野菜、海藻、豆類。穀物は玄米、全粒粉のパンなどに)を摂るようにしましょう。
炎症
体内でひどい炎症が起こっていると、間接的にイライラの原因となります。炎症を抑える、食物繊維や緑葉色野菜や果物を豊富に摂取し、トランス脂肪酸(植物油など)の摂取を控えたりすることをおすすめします。
デトックス
上記に述べた、活性酸素を無害化し、体内に蓄積された重金属を排出するデトックスを行うのもおすすめです。
ビタミンC
ストレスがかかると、副腎からアドレナリンが分泌され、その際にビタミンCが大量に消費されます。また、活性酸素の無毒化にも使われるので、ストレスがあるときはビタミンCをたくさん消費する分、補給が必要になります。(赤ピーマン、ブロッコリー、パセリ、いちごなど)
鉄
鉄分が不足してヘモグロビンによる細胞への酸素供給が低下する貧血状態のときは、疲れやすくなり、ストレスに耐えていくのが難しくなります。また、鉄が不足するとイライラしやすくなり、精神的な負担にもつながります。(赤肉、大豆食品、鉄のフライパンや鍋で調理するなど)
マグネシウム
精神を安定させる働きのあるマグネシウム。ストレスがかかり交感神経が優勢な状態ではマグネシムが大量に消費されます。なので、ストレスが多いときはマグネシウムが不足しがちです。(アーモンドなどのナッツ、野菜、魚介類、海藻など)
トリプトファン
精神を落ち着かせる働きのあるセロトニン形成のもとにもなるアミノ酸。また、質の良い睡眠に一役買うメラトニンの材料にもなります。
たんぱく質を多く含む食材(鶏肉、肉類、そば、乳製品など)に含まれます。ストレスマネジメントには代表的な栄養素です。
腸内細菌
いろいろな理由で、健康な腸内環境を持つ人はストレスからの悪影響が少ないと言われています。例えば先に述べたトリプトファンをセロトニンに合成する際には腸内細菌の働きが必要となります。
ストレスマネジメントのためのライフスタイル
生活の仕方においても少し気を配るだけでストレスマネジメントに効果が期待できます。
- 軽い運動を日々の生活に取り入れる
- 瞑想などの特別なテクニックだけでなく、好きな映画や音楽を鑑賞する
- 入浴などでリラクゼーションをうまく取り入れる
- ヨガや軽いストレッチなどで、筋肉を伸ばすことで血液の流れを良くし、副交感神経優勢の状態にするのに効果的です。
- 忙しい毎日でも、たっぷりの、質の良い睡眠はストレスマネジメントにはとても効果的です。
- 家族や気の合う友人と楽しい時間を過ごすということもとてもいい方法です。
- 笑うことはとても大切です。気分が沈むときほど、笑えるテレビやマンガなどで笑いとりいれましょう。
- 生活に支障がでるほどのお酒の飲み過ぎや暴飲暴食は避けましょう。
- 悩み事は家族や友達、カウンセラーなどの専門家に相談するのもひとつの方法です。
ストレスと聞くと、リラックスという言葉が対義語のようにイメージする人も少なくないと思います。しかし、交感神経と副交感神経の項目でもあったようにバランスがリズムを作ります。
そのため、運動で交感神経を刺激して汗をかくことで、スッキリとして気分転換になることもあれば、マッサージやストレッチのように副交感神経を刺激してリラックスすることでリフレッシュできるということもあります。
ご自身の体質や好みでストレス解消法も変わってきますが、本来のリズムを整えるという視点も忘れずにいて下さいね。
交感神経が優位であるべき時間帯
副交感神経が優位であるべき時間帯
これらを前提とし、整えておくことがベースともなります。
なので、夜遅い時間帯に激しい運動をしたり、
逆にお昼にリラックスし過ぎるとリズムが崩れることがあります。
まとめ
現代社会で生活している限り、ストレスを避けることは不可能と言ってもいいでしょう。
ですが、食生活や生活習慣に気を配ればストレスを軽減することができるということがお分かり頂けたと思います。
毎日元気で能率的に暮らすために、日々、ストレスとうまく付き合っていきたいですね。